日本企業で働きたい外国人が感じる不安(福利厚生・税金など)
日本企業で働きたい外国人が感じる不安(福利厚生・税金など)
目次
日本の保険や税金ってどうなってるの!??
仕事を選ぶ時、給料や職種以外に重視するものは何でしょうか。まずは基本的な報酬以外に支給される賃金があるのかどうかという点。日本におけるボーナスがあるのかどうかということでしょう。また住宅手当や交通費補助、社員食堂の有無など、福利厚生の充実している企業を希望する人もいるかもしれません。
それは外国人であっても同じです。ただ、海外のボーナスや福利厚生には、日本と異なる点もあります。外国人が求めるボーナスや福利厚生事情に迫ります。
日本の福利厚生の特徴
福利厚生については、ご存知の方も多いかと思いますが、簡単に触れておきます。企業が社員を確保、定着させるため、社員の働く意欲や能率の向上効果を目的としたシステム。法律で義務づけられた法定福利(企業が社会保険料などを負担すること)と企業オリジナルのもの(任意)で行うものがあります。特に任意の部分は企業ごとにカラーがあり、取り組みの本気度がわかります。一般的には、交通費の負担や社宅、社員食堂の提供のほか、健康診断や育児支援、保養施設の利用などです。
各国の福利厚生制度やボーナスの詳細
それでは、海外の国々の福利厚生制度、ボーナスなどはどのようになっているのでしょうか。
ヨーロッパの福利厚生
多くの国で健康保険があります。
・日本のように、社会保険をもとにし、医療サービスは公的、民間機関両方が行う国=ドイツ、フランス、オランダなど
・財源は税金。公的機関がメインとなって医療サービスを提供する国=イギリス、カナダ、スウェーデンなど
国によって異なりますが、有給休暇は約20~30日間程度、自由に取得可能。病気のための有給休暇もあります。フランスでは、決められた期間の間に一定の日数の休暇を取得しなければならないという法律があるほど。時間外労働に関しては、割り増しの賃金を払わなくてはならない国もあります。通勤の際の交通には支給されない国がほとんど。フランスやドイツでは、企業によって半額~全額負担してくれるところも。
【珍しい制度やボーナス(手当て)】
外食費が割高なフランスでは、企業から食券が支給されます。これがチケ・レストラン(チケ・レスト)で、一枚8~10ユーロの券が10~20枚程度まとまって支給されます。レストランの他、スーパーなどでも食料品であれば使用OK。
ドイツでは日本のようなボーナスはありませんが、クリスマス手当てという名の手当てがあります。額は給料の1カ月分程度が相場となっています。またイタリアではボーナス支給が法律で決められています。
アジアの福利厚生
フィリピンやシンガポールでは以前から、企業が保険契約者となる団体医療保険を導入しています。他の国々でも導入が進んでいます。中国、インドネシア、ベトナムなどのアジアの他の国々でも、導入が拡大中。
【珍しい制度やボーナス(手当て)】
インドネシアには、レバラン手当なるものがあります。レバランとは、断食月であるラマダン明けの大祭のこと。インドネシアの企業は、基本給の1カ月分~3カ月のレバラン手当を支給することが法律で決められています。日本のボーナスのようなものです。イスラム教徒にとって大きな意味を持つ祭日、レバラン。家族とお祝いすること人も多いのだとか。
さらにフィリピンでは、ボーナスの支給が義務付けられています。13カ月手当と呼ばれ、業績は無関係なのだそうです。基本給1カ月分を12月に支給します。
アメリカなどの福利厚生
公的な健康保険がないアメリカでは、企業が医療費を助成。病気やケガなどが原因で働けなくなってしまい、収入が減った分をカバーする所得補償保険についても、企業が負担するケースもあります。カナダではメディケアという国民皆保険制度があります。
【珍しい制度やボーナス(手当て)】
アメリカのボーナスは一部役職者のみ。インセンティブ的な意味合いが強いものです。カナダも年俸制の企業が多く、ボーナスは支給されないことがほとんどです。
ユニークな福利厚生で知られる海外の企業
社員食堂が無料、社員の家族も大切にする Google
美味しい社員食堂が無料、ジムなどの施設も充実しているGoogle。社員を大切にするのはもちろんですが、社員が亡くなっても10年間は、その家族に給料を支払うという制度を整備しています。
ペット連れで出勤できるAmazon
通販大手Amazonは、社員のペット同伴出勤を認めています。アメリカでは、他にも同様の福利厚生制度を取り入れる企業が増加中だといいます。
Facebookの充実の育児休暇、子育て支援
Facebookでは、男女共に4ヶ月間の有給育児休暇が取れる他、4000ドルの新生児手当も支給されます。オフィス内にクリニックがあったり、オフィスへのシャトルサービスがあったりと、かなり充実した制度が整っています。
まとめ 大手企業以外は遅れを取る日本
海外の福利厚生事情は、バラエティに富んでいます。本人以外の家族、宗教に配慮したものなど、画一的でないシステムになっているのが印象的です。
加えて家賃補助など、プライベートや生活全般をサポートしてくれることが多いのも特徴。大手企業を別にして、日本の企業では家賃補助をしてくれる企業はそう多くありません。仕事や業務内容になれることは、もちろん大切なことです。しかし外国人の場合、日本の生活基盤を整えなければ、本業に集中することは難しい面があります。
彼、彼女たちの衣食住に配慮し、生活基盤を整えること。落ち着いて仕事ができるよう、福利厚生面での受け入れ体制を整えることが優先されるべきです。