意外と歴史が長い?技能実習制度(外国人技能実習制度)とは
意外と歴史が長い?技能実習制度(外国人技能実習制度)とは
目次
技能実習とはどんな制度??
2018年12月、出入国管理法改正法案が成立、在留資格「特定技能」の新設が決まりました。外国人材の受け入れを拡大し、深刻な人手不足を解消するのがその目的。2019年4月、すでに運用がスタートしています。しかしそれ以前に、外国人を受け入れるシステムとして存在してきたのが技能実習制度(外国人技能実習制度)です。この制度の成り立ちやはたして来た役割、問題点について解説します。
技能実習制度(外国人技能実習制度)がはじまった背景
新しい在留資格の特定技能が設けられるのは、日本の労働力を補うためであり、外国人材に即戦力となってもらうためです。けれども1993年にはじまった技能実習制度の方向性は、現在とは少し異なっていました。
技能実習制度の第一の目的は「国際貢献」。日本が生み出した技術や知識などのノウハウを、開発途上国へ移し伝えることに意義があるとされてきました。経済発展のための「人づくり」への協力のために制定されたという背景を持ちます。技能実習は基本的に「労働力を確保する手段ではない」という理念のもとで、続いてきたことになります。
対象の職種は、製造業や建設業をはじめ、食品製造業や介護など77職種となっています。2000年、新たに農業も加えられました。機械・金属関係、建設関係、食品製造関係での受け入れが多くなっています(2018年3月現在)。
さらに2017年11月に技能実習法が施行され、ベースとなってきた入管法(出入国管理及び難民認定法)で定められてきた部分が見直されることになりました。この変更点については、後ほどくわしくお話しすることにします。
受け入れ機関や方法とは?
技能実習制度による、実習生の受け入れ方法は次の2種類です。
1企業単独型
実習実施者である日本の企業などが、海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れる形で、技能実習を行うもの
2.団体監理型
非営利の監理団体(事業協同組合、商工会など)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業などで技能実習を実施する形を取るもの
2017年6月の法務省の調査によれば、団体監理型が96・4%、企業単独型が3・6%。また団体監理型実習実施機関の半数以上が、従業員数19人以下の零細企業となっているというデータもあります(公益財団法人 国際研修協力機構(JITCO)調べ)。
技能実習の区分と在留資格について
技能実習では、企業単独型と団体監理型それぞれで、入国後1年目の技能等を修得する活動(第1号技能実習)、2・3年目の技能等に習熟するための活動(第2号技能実習)、4年目・5年目の技能等に熟達する活動(第3号技能実習)の3つに区別されています。
技能実習第1号は、原則2カ月間、座学の講習を受けます。この間は雇用関係はありません。 また技能実習1号から2号へ、2号から3号へと移る場合、技能実習生本人が所定の技能評価試験(2号への移行の場合は学科と実技、3号への移行の場合は実技)に合格しなければなりません。
2017年に新しく変わったポイントは
2017年11月に技能実習法が施行され、従来の法律の見直しが行われています。技能実習が適正な実施、技能実習生の保護が不十分であったなど、変更の背景には、技能実習制度(外国人技能実習制度)が抱える問題が見え隠れしています。
まずは、監理団体などの受け入れ先が、許可制となりました。また、優良な監理団体、実習実施者であれば、新たに第3号技能実習生として、4~5年目の技能実習の拡充が図られたのです。受け入れ人数の枠も広がったのです。
その他、技能実習生の相談・通報の窓口、人権侵害などに対する罰則なども整備され、技能実習生を保護する施策がまとめられています。技能実習生のサポートや相談窓口の役割を担う認可法人外国人技能実習機構(OTIT)も設立されました。
まとめ.労働環境の整備が急がれる
国際貢献の理想を掲げ、外国人材を受け入れるベースとなってきた技能実習制度(外国人技能実習制度)。長い歴史の中で、理想だけでは立ち行かない矛盾点が課題となっています。結果的に、「安い労働力を手に入れている」と考えている受け入れ先もあるからです。長時間労働や、最低賃金を守らない受け入れ先は、いまだに存在します。劣悪な労働条件化で、失踪する実習生も後をたちません。
新設する在留資格「特定技能」への移行を考える実習生は今後増えるでしょう。実習生の環境を整えることは、何よりも優先されるべきです。
ビザ編に関する記事をもっと読む