外国人社員と円滑なコミュニケーションをとる方法
外国人社員と円滑なコミュニケーションをとる方法
目次
外国人と一緒に働く時に気をつけるべき点
少子高齢化に伴う労働人口の減少が、大きな社会問題となっています。雇用にも多様な人材活用が望まれる中、期待を集めるのが外国人材です。優秀な人材も多く、雇用を考える企業も増えているといいます。とはいえ日本人とは育った背景や文化も異なる彼ら。実際に採用してうまくいくのかどうか、躊躇されている企業も少なくないのでは?外国人材を採用するにあたって、気をつけるべきポイントを解説していきます。
国や信仰する宗教で異なる対応が必要な理由
日本における外国人労働者の数は、増加の一途をたどっています。国籍は中国が最も多く、次にベトナム、フィリピンと続きます。その他、ネパールやインドネシアなどから日本に来ている労働者も。これだけ多くの国々から人材を受け入れているのです。文化や宗教など、国によって個別に対応が必要なのも当然のことといえるでしょう。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)
生活と密接なつながりを持つ信仰
日本人は、八百万神(やおよろずのかみ)を大切にする人が多く、特定の宗教やそれにまつわるルールを気にしない傾向にあります。一方、多くの外国人は信仰する宗教を持ち、それが国固有の文化とも深いつながりを持っています。国や宗教による違いを、個別にご紹介します。
イスラム教
世界三大宗教の1つで、世界中に多くの信者がいます。信者はムスリムと呼ばれ、唯一絶対の神アッラーを信仰。18.5億人(世界人口の約4分の1)のムスリムのうち10億人近くはアジアに居住しています。日本の近隣国ではマレーシア、インドネシアに多く信者を有します。
宗教や信仰を中心に日常生活を送っており、服装や食材においてのルールを遵守します。豚肉や豚肉エキス入りの食べ物、アルコールやお酒の成分が入った食べ物は食べることは禁止されています豚肉以外の肉についても、イスラム法に則って処理されている物=「ハラル」(HALAL) のみ食べることが許されているのです。
食事に使われている食材やお皿・調理器具、肉などの血液等々についても、イスラム教の教義に則った物であるかどうか、タブーとされている事柄が細かく決められています。またムスリムは、1日5回の礼拝を行います。身体を清める儀式や礼拝をするためには、礼拝スペースが必要不可欠になります。また、ラマダンというイスラム歴に基づいた断食月も存在します。
その他、左より右を優先する、女性はヒジャーブ(スカーフ)などで髪や身体のラインを魅せない等々なども決められています。
ユダヤ教
唯一神「ヤハウェ」を信じる宗教。信者はイスラエル共和国、米国、ロシアなど、世界各国に存在します。信仰と食生活には深い関わりがあり、「カシュルート」と呼ばれる食事のルールが決められており、食べられる物を「Kosher(コーシャー・カシェル)」料理といいます。
豚肉は食べることができませんし、豚肉以外の肉も血抜きをなど宗教上の適切な処理がされていなければ禁止です。エビ・タコ・イカ・貝類も忌避され、乳製品と肉はNGなど、料理の組み合わせにおいてもタブーがあります。遺伝子組み換え食品も禁止です。
食事以外にも、労働が禁じられている安息日(金曜日の日没から土曜日の日没ま)が決められていたり、年6 回の断食日があったりと細かなルールがあるのが特徴です。
ヒンドゥー教
古代インドのバラモン教と民間信仰が交じり合い、宗教・文化の複合体の総称とされています。信者はインドやネパールに多く、カースト制度の影響が色濃く残る宗教でもあります。
食べ物においては、ベジタリアンとノンベジタリアン(非ベジタリアン)をきっちり区別します。カーストや社会的地位の高い人ほど、肉食を避けることに徹底する傾向。穢れに対する意識が強く、自分の食器に取り分けられた物は、他人とシェアすることはタブー。異なるカースト間では婚姻関係が結べないなど、カーストの影響下にあります。
宗教以外の食事制限
宗教以外の理由でも、肉・魚など動物性の食品を摂取しないことをポリシーとする外国人がいます。いわゆるベジタリアンと呼ばれる人たちです。世界各地に分布していますが、アジアと欧米に多いとされています。
ベジタリアンはさまざまタイプがあり、動物性食品のみならず卵や乳製品、蜂蜜も摂らない、革製品も使わない ビーガン、ピュア・ベジタリアンを貫く人も。宗教ではありませんが、自分の信条としてライフスタイルや食べる物全般にこだわっている人たちです。
職場環境にも関係する文化的背景
宗教と日常生活を密接に関連していることは、日本人にとって理解しがたいことかもしれません。裏返すと、外国人材にとっても日本人のこだわりのなさは奇異に映るはずです。完全に理解し合うことは難しいですが、「日本ではこれが常識」という点を、周知することは大切なことです。
そのためには、緊密なコミュニケーションが欠かせません。根気強く、折に触れ説明することが大切です。もちろん、こちらの意見だけを一方的に押し付けるのではなく、彼らの「常識」を受け入れることがポイントとなってきます。例えば、ムスリムのために社内礼拝所をつくるのもその1つ。礼拝所といっても難しく考えることはありません。4畳ほどのスペースに、礼拝用のじゅうたんや身体を清める儀式を行うための水を用意するだけで、簡易な礼拝スペースとなります。
ベジタリアン・ビーガンメニューを置いたり、ハラル食に対応する社員食堂も増えています。またラマダン(断食月)などで体調管理が難しいことを理解しておくだけでも、本人の感じるストレスは少なくなるでしょう。
まとめ 違いを認め、尊重できる関係づくりを
宗教だけでなく、家族との関係性、男女性差に関する考え方など、考慮すべき点は多数あります。外国人材は自分の意見をストレートに主張する人が多いのも特徴です。戸惑う点はあるかもしれませんが、まずは話を聞くことです。そして社内で対応できることがあるなら、検討することも伝えましょう。多様性(ダイバーシティ)の考え方を浸透させ、尊重し合って働ける環境づくりが求められています。
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