日本企業で働きたい外国人が感じる不安(労働時間・残業)
日本企業で働きたい外国人が感じる不安(労働時間・残業)
目次
KAROUSHI(過労死)はもはや国際語!?
日本の常識は世界の非常識。使い古された言葉ですが、ビジネス分野では未だに該当するケースが存在するのも事実です。海外から日本に働きに来る外国人にとって、母国とは異なる「日本の常識」は驚きの連続。彼らが日本になじめるかどうか、今後の生活に不安を覚えても不思議ではありません。ギャップやズレを感じる日本人のビジネス慣習・文化に焦点をあててご紹介します。
どうして残業しなければならないの?
これまで残業や長時間労働を続けてきた日本。最近ようやく改善の兆しがみえていますが、外国人には理解しがたい文化のようです。
Karoshi(過労死)は日本発の言葉!
働き過ぎが「死」につながってしまう過労死。長時間労働は日本企業の悪しき慣習として根強く残っています。ただ最近は、若い社員の過労死が再びニュースとして取り上げられ、日本人の働き方に再び注目が集まるように。海外でもKaroshi(過労死)という言葉が通用するという、不名誉な事態となってしまっています。
上司が帰宅しないと帰れない
残業が増えてしまうのは、自分の裁量で仕事ができないからです。例えば日本では、若い部下が上司より先に帰ることをよしとしない風潮があります。しかし、欧米やアジア諸国においては、残業が多い人=(イコール)仕事ができない人という考え方が一般的。仕事の効率が悪く、生産性の低いとみなされることもあり、残業はほぼしないといってもいいでしょう。
また、「プライベートを犠牲にしても会社に尽くす」という考え方も、外国人にはそぐわない考え方のようです。海外では、自分の私生活が充実してこその仕事、つまりワーク・ライフ・バランスの考え方が定着している国も少なくありません。日本でも少しずつ浸透しつつある考え方ですが、まだまだ「会社>私生活や家族、家庭」を強いる企業も存在するのが現実です。
各国の残業についての考え方
日本以外の国々において、残業の扱いはどうなっているのでしょう。
ドイツの場合は、労働時間貯蓄制度を採用しています。労働時間貯蓄制度とは、ベースとなる労働時間を決めておき、それ以上残業した時間を貯めることができるシステム。働きたい時にたくさん働き、働いた時間を休みに回すことができます。ライフスタイルに合わせて、柔軟に働く時間を選択できるわけです。
アジア、中で緒シンガポールは、ワーク・ライフ・バランスを重視する国。有給休暇の取得率も高くなっています。一般的な有給休暇とは別に、病気に罹患した時だけの有給休暇が存在するからです。
人間関係が厳しすぎる……
日本における上司と部下の関係は、ピシッと線引きされていることがほとんどです。職場における人間関係も、外国人労働者を困惑させる要因となっています。
目上の人を敬うのは当然のことだけれど
日本のビジネス社会では、上下関係が物をいうシーンも数多くあります。たとえ間違っていたとしても、部下など下の立場の人間が指摘することが許されない空気があります。ミスを指摘しても、認めないことも少なくありません。 自己主張をすることが是とされてきた外国人にとっては、理不尽に受け取られることもあるでしょう。
コミュニケーションの妨げにもなる
チームで仕事をすることを重んじる外国人。上下関係というよりは、協力して対等に仕事をする仲間として業務を行っています。日本人は上下関係に配慮するあまり、コミュニケーションそのものが希薄になってしまいがち。 結果的に、チームの雰囲気が重くなってしまい、外国人にとっても打ち解けにくい職場環境ができてしまうのです。
日本人上司の中には、未だに人前で怒ったり、強く注意する人もいます。よかれと思ってやっていることでも、「モラハラ」「パワハラ」と捉えられるリスクも高まります。
「飲みにケーション」は日本の伝統?
定期的に開催される職場の飲み会。日本人でも、若手の社員の中には参加しない人も増えているといいますが……。 外国人労働者にはどう映っているのでしょう。
親睦と交流が目的の酒席
職場の人間関係を円滑にするために開かれる飲み会。いわゆる「飲みニケーション」も日本独自のビジネス慣習の1つです。飲み会の文化について、外国人は意外と好意的なよう。実際に参加した外国人からも、自国にはない文化だとしつつも、“コミュニケーションをとる良い機会” “仕事では見えない顔や本音が聞ける”という声が聞かれました。
頻度が多すぎる!
日本の飲み会文化について、一定の理解は得られていました。ただ、その頻度の多さには辟易してしまう人も。歓送迎会や忘年会・新年会、お花見や紅葉シーズンなどのイベントに加え、定期的な飲み会が開催される企業もあります。飲み会の開催率の高さに、“たまにならいい”“時間やお金を消費する”“毎週、アルコールを取りたくない。体力が持たない”という意見がありました。
また自由参加なら理解できるが、ほぼ強制的である面も不評のようです。仕方なく参加したという声もあり、賛否両論、意見が分かれました。
まとめ:理解する姿勢を積極的に見せる
文化や慣習、言葉の異なる知らない国に来るだけで、不安なもの。日本企業では当たり前の事柄でも、外国人にとっては不思議なこと、受け入れがたいことがあるのは当たり前のことでもあります。違いがあるのは当然だと捉え、自分たちとの違いを認識しましょう。
その上で相手の文化や習慣を積極的に学び、理解を深めることが大切です。
歩み寄る姿勢が伝わること、「わかってくれようとしている」と相手に思わせることを何より優先してください。心がけ1つで、きっと外国人たちの不安解消につながるでしょう。