JSJのコラム

日本企業で働きたい外国人が感じる不安(休暇編)

日本企業で働きたい外国人が感じる不安(休暇編)

海外は長期バカンスが当たり前?

「日本人=(イコール)働きすぎ」のイメージは、世界的にも浸透しています。日本企業で働きたいと思っても「休みが取れないのでは」と躊躇してしまう外国人もいるといいます。ただ以前の日本に比べ、休日返上で働く、残業をよしとする風土は改善されつつあるのも事実。日本人は今でも休みを取らずに働いているのでしょうか?現代における「日本人の労働」のリアルな側面を解説します。

 

やっぱり低い!?日本の有休取得率と取得日数

世界19カ国の有給休暇を比較した調査(エクスペディア・ジャパン調べ)によると、日本の有休取得率は、50%で3年連続 世界最下位という結果が発表されています。ワースト2位のオーストラリアでさえ、取得率は70%。実は2019年の4月より、有休の取得義務化がスタートしています。義務化前の調査とはいえ、残念な結果となってしまいました。

有休取得日数、有休取得率共に、ヨーロッパ諸国が高めの傾向に。アジアは相対的に低いというデータが出ています。政府がめざす働き方改革の道のりは遠いといえそうです。

 

日本と海外の休暇やバカンスの相違点

病気休暇 (Sick Leave) があるヨーロッパ

ヨーロッパ諸国においては、病気休暇 (Sick Leave) があります。しかも、一般的な有休休暇とはまた別に設けられています。フランスやアイルランド、イタリアなどでは、社会保険で病気休暇中の給与をまかなっているというのだから、驚きです。   

有休取得日数、有休取得率共に低めの傾向にあるアジア圏にあって、有給休暇取得率が高いのがシンガポール。病気休暇も当然認められています。

 

長期バカンスを取る国も      

バカンス大国として知られるフランスは、5週間の長期休暇が当たり前。ブラジルやメキシコ、スペインでも長期休暇を取る割合が高くなっています。ヨーロッパの中でも勤勉なイメージが強く、日本人に近いスピリッツを持つといわれるドイツ人。しかしそのドイツでも、4週間続けてバカンスを取ることは珍しいことではないといいます。また長期の休暇としてクリスマスにも有休を消化する国が少なくありません。また、ロシアでは、年に1度、連続14日間の休暇を取ることが義務となっています。

 

アジア圏の長期休暇      

有休取得日数、有休取得率が低めのアジア圏。それでも1週間前後の休暇を取っています。例えば国王と仏教に関する祝日が決められているタイ。4月中旬にあるソンクラーン(タイの旧正月)には比較的長期の休日を取るようです。

中国といえば春節(旧正月、1月27日~2月2日)が有名ですね。海外旅行に出かける中国人の民族大移動がニュースになっています。日本を訪れる旅行客も少なくありません。

マレーシアやインドネシアなど、イスラム教徒の多い国では、断食明けの大祭(ハリラヤプアサ レバダン9が長期休暇シーズンです。また国民の大部分がキリスト教徒のフィリピンにおいては、クリスマスシーズンが長期休暇シーズンとなっています。ベトナムでは、「テト」と呼ばれる1月下旬から2月上旬頃に訪れる旧正月。この時期が最大の長期休暇です。

 

日本人が休みを取らない理由

働き方改革、ワーク・ライフ・バランス等々、日本人が働き方を見直す契機にきているのは間違いありません。有休の取得義務化など法整備も進んでいます。それでも日本人が有休を取らない、取りにくい理由はなんなのでしょう。

 

1罪悪感を覚える国民性       

冒頭でご紹介した調査の中で、さらに興味深い結果がありました。「有給休暇取得に罪悪感を感じる人の割合」です。この割合が最も高かったのが日本でした。日本人は、後ろめたさを覚えながら有休を消化しているのです。休むのは労働者の正当な権利であるにもかかわらず。
 
2.人手不足が解消されない   

日本社会の大きな問題である人手不足。自分が抜けたことで上司や同僚、部下など仲間に迷惑をかけることも気になるようです。          
 
3.緊急時にとっておく

緊急時というのは、病気などでやむを得ずに休むケースのことだと思われます。ヨーロッパ諸国のほとんどで認められているえず病気休暇 (Sick Leave)があれば、もっと休めるのに……。場の空気を読みすぎる、忖度する国民性からなかなか休みを満喫できないうように感じます。
 
4.やる気がないと思われるのがイヤ

休みを取ることは、本来仕事や業務内容とは無関係のプライベートであるはず。それなのに、やる気のなさと関連して考えるところが、未だに「働き蜂」といわれていた頃と変わっていません。公私混同するのも、日本人の悪い気質ではないでしょうか。

 

まとめ

有休取得日数、有休取得率共に低い日本。ところが祝祭日そのものは、世界でもひときわ多い国でもあるのです。有休を取得し、きちんと消化していたと仮定すると、祝祭日と合わせるとそれなりに休んでいることになります。

 

とはいえ、祝祭日に休むのは「休まされている」から。自分の裁量で自分の好きな時に休みを取る有給休暇とは意味合いが異なります。海外から日本にくる外国人たちの中には、休む時に休んで、働く時に働くという考え方を持つ人もいます。また宗教や国民性から、日本の祝日以外にも休みたいと希望することもあるでしょう。病気休暇が一般的な国の人からすると、「病気なのに休めないのはなぜ?」と働きにくさを感じてしまうかもしれません。

 

有休取得は、働く人にとっての権利です。外国人に日本人と同じ考え方を強いているだけでは、働き手として定着してもらうのは難しいでしょう。一定日数以上前に申し出ることで、場合によっては対応できることを伝え、ケースバイケースで話しあうこと。企業側が臨機応変に対応すること、柔軟な姿勢を外国人に見せることでより理解が深まるのではないでしょうか。

 

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